邂逅と輪廻

No.661-690

傍にいてくれる貴方より、もう会えないあの人を。

例えば過去に戻れたら、私はきっと自分を殺すわ。

太陽に燃えて雨に溺れて、虹の橋が渡れるはずもなく。

ごめんなさいしか言えない私でごめんなさい。

どんなに叫んだ言葉でも届かなければただの雑音で。

それが幸せなのだと誰かに言い聞かせたいのです。

歪んだ視界に光をあてないでください。

僕らに足りなかったものは、いったい何だというのでしょう。

くすりと笑うその手にはめられた指輪が、あまりにも眩しくて。

濡れた靴で踏みしめて、今日という日に感謝しよう。



頷く貴方のその目はどこを見ていたのだろうか。

それが最善の方法でないことくらい、馬鹿な私でも分かってたよ。

最期の言葉も奪われて、あぁ、なんて滑稽だろう。

タイムリミットがあるとしたら、それはこの瞬間までで。

曖昧に笑う貴方は幸せですか?

全てを忘れてなかったことにしてしまえるほど強くはないのです。

貴方をあの子に見立てて愛して、とても優しくなれました。

夢も希望もないけれど、それでも未来だけはあるから。

薄暗い道の向こう側に見えたはずの影を追いかけ続けて。

いつか、助けに来てくれるのだと、信じさせてください。



ただ嘲笑うだけの人生は思いの外楽しかったのです。

醜いはずの傷跡がとても素敵なものに見えてしまって。

手も、足も、目も、口も、心も、全てがあつい、です。

何もかもが苦手な私が生きていてごめんなさい。

永遠と鳴き続ける蝉はその人生を終えて。

噎せ返るような熱気の中で、ただ貴方だけは凍えていた。

動き始めたこの手を止めることは、きっと誰にもできないよ。

涙なんて溢れるはずもなく、ただ笑い声だけが、どこかで。

エンターキーを押すだけで終わってしまうこの世界に。

祈りを捧げたふりをして、ただ自分の幸せを願いながら。



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