邂逅と輪廻

No.361-390

さみしくなんてないのだと、君の背中に嘘を吐く。

たかが口付けであなたを縛れるわけないのにね。

大嫌いだと言う度に傷付くのは私の心だけだった。

さあ、こんな世界なんて捨ててしまおうよ。

思わず抱き締めた貴方の体は、思っていたより大きくて。

静かな校舎の暗い教室に残された愛の言葉。

最後に笑った誰かの声は永遠にさ迷い続けるんだよ。

合わない視線に届かない声。ねぇ、私はここにいるよ。

君がいない世界。夢は覚めると信じて意識を手放した。

清々しい朝の景色にぽつんと浮かんだ入道雲。



笑い合う君と僕に向かって誰かの拍手が聞こえた気がした。

ふわりと香るあの子の笑顔に祝福を。

十まで数えて探す振り。あの子はきっとそこにいるから。

色眼鏡で見た世界はひどく美しく物寂しかった。

波紋の様にただ静かに何かが広がった。

拗ねた君が無視した32回目の着信音。

羨ましかっただけの君に、違う感情を覚えたのはいつの日か。

甘えて逃げて繕って、それでも君は笑っていた。

ありがとう。そんな貴方を愛していた。

逃げ出した先は魔物の住み処。悟ったときには、もう居ない。



並べた小さな石ころの列を端から順に蹴飛ばした。

ぬらりと現れ、ふにゃりと笑い、ぱさりと消えた。

全て投げ出したはずだった。痛む心もなにもかも。

優しく微笑んだ貴方は微睡みに沈んだ。

押さえた口から漏れ出したナニか。

口元だけ微笑んだ彼が消えた夏の日。

幸せはいつだって君の隣に落ちていた。

最高の幕引きは屍の上。真っ赤なドレスで踊りましょう。

白と黒の混ざり合えない世界に君が泣いた。

私が私であるための最低条件が、崩壊。



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