No.481-510
好きでいられるだけ幸せなのよ。殺してくださいなんて言えるわけないじゃない。
走って飛び越えてぶつかったのは誰でもないあなただった。
だって君はいつだって楽しそうに泣いていたじゃないか。
歩道に落ちていた小さな靴を、何とはなしに蹴りあげた。
さて、これから始まる悪夢にどんな名前をつけようか。
波しぶきはキラキラ光って、砕けた。
無理やり殺した感情はどこへいくのでしょう。
君の気持ちもあの子の想いもあの人の感情も、わかるわけがないじゃない。
狙いを定めて引き金を引いた先にいたのは私の愛した、
夢を見ないのだと笑った君にささやかなプレゼントを。
なーんだ、結局は誰も信じちゃいないじゃないか。
あいつのせいで狂った人生が、あいつのせいで終わるんだってよ。
ぎゅっと抱き締めた幼子の熱を、私は一生忘れない。
人間は変わっていくもんだよ。良くも悪くも、ね。
長く長く続いたこの物語も、ようやく終焉が見えたようで。
冷めた視線を浴びせられても、それでも私は私なのよ。
叫び声と共に振り上げられた銀色は別の色へと染まり、そして。
耳を塞いでやめてと泣き叫んであの子は消えていった。
言わないで、言わないで、それは自分が一番わかってるから。
壊れた心をかき集めて出来たのはガラクタ人形だった。
緑色の中で笑いあったひとときはアルバムと共に押し入れの奥へ。
埃まみれの倉庫から出てきた、知らないはずの思い出箱。
日常のなかにちょっとした刺激を加えようとして、暗転。
わしゃわしゃと頭を撫でたあの人は笑っていたはずだった。
子供だからで許された時代の悪戯心に隠した犯罪。
また夢で会えたら、今度こそ一緒にあそびましょう。
ぐちゃぐちゃにしてしまえばもう戻れなくなるかな、なんて。
触れた唇が冷たい気がして、それでもまだ触れていたくて。
空を仰いで、肩に置かれた手を払って、ただただ後悔を重ね続けて。