No.571-600
あぁ、悲劇だ。この悲劇の中で死ねたら、僕はどれだけしあわせだろう。分からなくなったから、終わらせようと思ったんだ。
どうして誰も何も言ってくれないの。
いつも階段を先に上る君がいなくなったあの日。
薬を飲んで安心して笑った君は、もう壊れないから大丈夫、と。
画用紙から消えた表情を取り戻しに行きたいと思います。
出来損ないに生まれたのなら、この世界にヒビくらいは入れてみたくて。
冬が終われば必ず春が来るって言うけどさ。つまり冬が終わらない限りは春は来ないんだよね。
噛み締めるほどに悔しいのなら、どうして諦めなかったの。
雨ですべてを流して、風ですべてを飛ばして、晴れた日にはきっと何も残らないね。
寂しがり屋が最後まで抱きしめ続けたその人形は。
トントンと聞こえた足音が部屋の前で止まって、それから。
いつか、きっと、かならず、それは叶わない。
言葉を掬って拾い上げて、それがガラクタだった時の気持ちを貴方は知らないのね。
ヒロインはいつまでもヒーローを待ち続けるのが役目だから。
その子守唄は私をどこへ連れて行ってくれるの。
私が貴方を想うように、貴方も私を想ってくれるのなら。
悪戯に誤魔化して心の底からの我儘を。
両手が綺麗なままでいられないから、ぐちゃぐちゃに。
ここは誰も私を知らない。だから、こうして生きていく。
鬼を知らない鬼ごっこを永遠に続ける私たち。
ずっとずっと生きてきて、それでもいつも取り残されて。
大好きだと伝えられたら、私は泣くことができたのだろうか。
仮定ばかりを繰り返しても幸せなんて見つからないんだ。
心の亡骸を丁寧に丁寧に埋めてたくさんたくさん水をあげて。
メロディーはたんちょうに変わっていった。
仮初でも一瞬でも、私に夢を見させてください。
雪で冷えた指先は、涙も暖かく感じて。
ぼんやりと光る桜並木は、うつくしいのか、おそろしいのか。
季節が戻り始めても、君は戻ってこなかった。