邂逅と輪廻

No.601-630

思い出を絞って干して出来たのは味気ないガラクタ。

声を上げて走り出した先に見えたのは深い谷底で。

優しい君たちだから、その言葉は信じられないんだよ。

苦しいのが嫌だから人形になるのに、どんどん苦しくなるんだ。

すべての希望を捨てたくなくて、それなら自分を犠牲にしよう、と。

ぶくぶくと口から漏れる言葉に酸素はありますか?

木漏れ日に照らされた体が穢れたように沈んで見えて。

辿り着いた先が闇ならば、いっそ消えてしまおう。

記憶なんて不確かなものにすがり付く姿の滑稽さよ。



春になればあなたが迎えに来てくれると信じてたの。

羽根なんて最初から無かったんだと言えなくて、微笑。

光溢れる世界から見えるのは幸せな自分たちの姿でしょ。

暗い世界は光に弾かれて見えやしないわ。

足枷を外したいともがいて鎖が絡まって。

その言葉の真意は誰の心にありますか。

過去を捨てて未来を潰して、現在を壊せば何が残るの?

その傷が癒えるのは、きっと笑って死ねた瞬間。

ぐるぐると回る視界と記憶に酔いしれて。

自己犠牲だなんて迷惑なこと、私の前ではやらないで。



泣いて叫んで、来年はきっと誰にも知られぬままに。

愛していると10回伝えて、10回目の返事は聞こえなかった。

のらりくらりと生きているオレらに情を下さい。

文字と文字の間から読み取った空気に押しつぶされた子供たちは。

かからなかったその呪いはいったい誰に、何処に、行ってしまったのだろうね。

不様に不気味に不器用に、ひっそり過ごした16年。

聞こえてきた笑い声はあの人の悲鳴にしか聞こえなくて。

感情のない音の塊にも意味はあって、だからこそ信じられるのだと。

転がり続けて角が削れて丸くなった心にヒビはないと誰が言った?

嬉しくて流れたこの涙は、きっと少しだけ甘いと思うんだ。



top