邂逅と輪廻

No.61-90

ほら、まただ。私は自分を正当化するために嘘を吐く。

他人を傷付けても、他人に傷付けられても楽しくないの。自分で自分を傷付けるから楽しいのよ。

偽りの笑顔、偽りの言葉、偽りの仲間。偽りだらけの世界に僕は安堵する。

皆が好きな貴方の笑顔は、私に恐怖をもたらした。

あんなに大好きだった君の事、僕はもう思い出せない。

知らないことと存在しないことに大して差はない。

もしも人は生まれ変われるのだとしたら、今を生きることに意味はあるのか。

僕が嘘をひとつ吐くごとに、君の心にひとつ傷が付く。

君は僕に似ているから、だから僕は君が嫌いなんだ。

一方通行の想いは、受け止める人がいないから厄介なんだよ。



自分を傷付けることは単なる自己満足にすぎず。

光を失った鳥は、仲間とはぐれ彷徨い続ける。

人間は基本的に逃げることを得意とする動物だ。

こんなに美しい世界、だけど僕は気付かなくて。

大好きだった。それは過ちでしかないけれど。

それでも僕らは学ぶことはできず。

自分を知らぬほど、己の力を過信し身を滅ぼす。

それでもまた君は信じ続け、傷を増やしていくんだろう?

苦し紛れに吐いた嘘が、僕らの人生に終わりを告げた。

死ぬことは簡単なのに、生きることは難しすぎる。



こんなに簡単に命が失われる世界を、私は信じたくなかった。

逃げて、逃げて、私は何処に辿り着くの?

自分の犯した罪を知りながら、許されたいと願ってしまった。

祈ることしかできない私を、どうかお許しください。

その優しさが私を傷付けていることに、君は気付かない振りをした。

白いカーネーションの花言葉は《愛の拒絶》なんだよ。

落ちて堕ちて墜ちて、まだ底には辿り着かない。

何も愛さないと言った貴方は、だけど全てを愛していた。

貴方はいつも私に選ばせ、罪悪感を植えつけるのね。

願いはいつも叶わなくて、想いはいつも届かない。



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